2025年9月11日木曜日

能登半島被災地 視察で学んだこと

令和7年9月6日・7日、能登町の特別養護老人ホーム「こすもす」さんへ訪問いたしました。


地震で3階の屋根の6割が崩れ、さらに2階はスプリンクラーが作動して水浸し。

約112名の入所者(デイ利用者を含む)を余震が続く中で1階へ避難させるという、想像を絶する対応を迫られました。

「待っていても何も届かない。自分たちで工夫するしかなかった」

その覚悟が現場を支えていました。

現在も崩壊状態の道路


発電機が一部動いたことで暖房は確保できましたが、最大の課題は“水”。山水やタンクを利用してしのぎ、2槽式洗濯機で清潔を保ちました。入浴ができない中、ドライシャンプーや汗拭きシートで工夫を続けたそうです。食事も最初はお粥や汁物だけでしたが、農家やボランティアの協力で徐々に改善。地域や福祉関係者の支援が大きな力になったと聞きました。


印象的だったのは、DMATから何度も「避難」を勧められても「ここで踏ん張る」と決断したことです。必要なものはしっかりと「必要だ」と伝える。インフルエンザの予防薬、酸素、病院との連携、具体的に求めることで、施設にとどまって対応を続けることができたそうです。

そしてもう一つ忘れられないのが、BCPの視点です。「防災のBCPと感染症のBCPは切り離さない方がいい」この言葉がとても印象に残りました。地震のような大災害の中では、同時に感染症のリスクも高まります。両方を一体で考えて備えることが、これからの施設運営に欠かせないのだと強く感じました。


完璧な備えはなくとも、“培った備え”“つながり”、そして“踏ん張る意志”が命を守る。

その大切さを、特養「こすもす」の皆さんは実践で示してくださいました。


今回の視察でいただいた学びと勇気に、心から感謝を申し上げます。

参加者:防災対策委員会4名・Bブロック長1名・事務局1名・コーディネーター1名